日置市立伊集院中学校熱中症予防対策の指針(令和6年9月改訂)

 本校では,学校の管理下における熱中症事故は,多くが体育・スポーツ活動中に発生しているが,運動部活動以外の部活動や屋内での授業中,登下校中においても発生している。本校においても,過去,熱中症による死亡事故が発生していることから,熱中症を絶対に起こしてはならないことを強く自覚し,指導や対策を徹底する。

1 熱中症とは
  体温を平熱に保つために汗をかき,体内の水分や塩分(ナトリウムなど)の減少や血
 液の流れが滞るなどして,体温が上昇して重要な臓器が高温にさらされたりすることに
 より発症する障害の総称。高温環境下に長期間いたとき,あるいはいた後の体調不良は すべて熱中症の可能性がある。

(1) 熱中症の症状と重症度分類


(2) 熱中症予防の原則
   日常生活における熱中症予防は,体温の上昇と脱水を抑えることが基本。そのため,
  まず大切なのは,暑い環境下に長時間いることを避けることである。学校生活の中で
  は体育スポーツ活動において熱中症を発症することが多く,スポーツなどの体を動か
  す状況では,それほど気温の高くない環境下でも熱中症を引き起こすことがある。暑
  くないから大丈夫と思うのではなく,活動中の生徒の状態をよく観察して,異常がな
  いかを確認することが大切である。

<熱中症予防の原則>

① 環境条件を把握し,それに応じた運動,水分補給を行うこと。

② 暑さに徐々に慣らしていくこと。

③ 個人の条件(体力・肥満・体調不良等)を考慮すること。

④ 服装に気を付けること。

⑤ 具合が悪くなった場合には早めに運動を中止し、必要な処置をすること。


2 環境条件の把握
(1) 暑さ指数(WBGT)
   熱中症予防のための指標。人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標
  で,人体の熱収支に与える影響の大きい湿度,日射・輻射など周辺の熱環境,気温の
  3つを取り入れた指標。単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示される。

日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針」
(2) 熱中症警戒アラート
   熱中症の危険性が極めて高い暑熱環境が予測される際に,環境省・気象庁が新たに
  暑さへの「気づき」を呼びかけ,国民の熱中症予防行動を効果的に促すための情報提
  供のこと。府県予報区等内の情報提供地点のいずれかで,特定の日における暑さ指数
  の最高値が33以上になると予想される日の前日夕方または当日早朝に都道府県ごと
  (※北海道,鹿児島,沖縄は府県予報区単位)に「熱中症警戒情報(アラート)」が発
  表される。また,特定の日における暑さ指数の最高値が,一つの都道府県内の全ての
  情報提供地点において 35 以上となることが予測される場合は「熱中症特別警戒情報
  (アラート)」が発表される。       

環境省「熱中症予防情報サイト」
3 暑さ指数(WBGT)と学校の対応
  学校では,環境省熱中症予防情報サイト等から出される暑さ指数や熱中症警戒アラートの情報等を踏まえて,各種教育活動を行う。
 また,運動を伴う活動をする場合は熱中症予防運動指針を目安に,生徒の発達段階や日
頃の活動状況等も考慮して活動を行う。

4 暑さ対策の環境づくり
 ・ 体調に違和感等がある際には,申し出しやすい環境や気兼ねなく体調不良を言い出
  せる環境,お互いに体調を気遣える環境を整える。
 ・ 朝,2時間目休み,昼休み前,部活動開始前等,定時に暑さ指数を計測し,職員室
  と生徒玄関に計測値を掲示する。
 ・ 水分補給のための水筒持参を呼びかける。補給用のセカンドボトルを推奨し,ペッ
  トボトル持参も可とする。(※水筒に移し替えて飲み,ペットボトルは家庭に持ち帰る。)
 ・ 屋外を含めた移動教室の際には水筒を持参し,いつでも水分補給ができる環境を整
  える。
 ・ 屋外で活動を行う際は,ミストやテント設置をしたり,エアコンの効いた部屋や日
  陰を準備したりして,給水や休憩を行うことのできる環境を整える。
 ・ 事故発生に備えて体全体をすばやく冷却できるように,氷や凍らせたタオル,保冷
  剤,経口補水液等を保健室と職員室の冷蔵(凍)庫に備えておく。

5 各活動における対応
(1) 教室内の授業
  ・ 空調設備が設置されている教室では,教室の温度が28℃以下になるように空調設
   備を利用して,教室内の温度を適切に管理する。
  ・ 空調設備が設置されていない教室では,換気や扇風機等の使用を行った上で,適
   宜水分補給を行うよう指導し,活動内容を工夫して設定する。

(2) 屋外での活動
  ・ 体育の授業や昼休みなど,屋外で活動する場合は帽子を着用させる。
  ・ こまめに水分補給を行わせ,適宜,日陰で休息する時間を設ける。
  ・ 活動に入る前に体調確認を行い,生徒のコンディションを把握する。活動中も随
   時確認する等注意する。
  ・ テントや日陰,エアコンをつけた部屋を準備し,見学者や体調不良者等に対応す
   る。
  ・ 運動を行った後は体が熱い状態となっているため,クールダウンしてから移動や
   次の活動を行うようにする。

(3) 部活動
  ・ 部活動を始める前と終わりに生徒の体調を確認する。
  ・ 日陰や風通しが良い場所で休憩する時間を設定し,冷たいタオルや氷嚢などで体
   温を下げる工夫と時間を十分に確保する。
  ・ 運動部の試合等の場合,前日と翌日は長時間の練習を行わない。
  ・ 活動中に体調が悪くなった場合は一人で下校させず,指導者が保護者に引き渡す。

(4) 登下校時
・ 涼しい服装やこまめな水分補給について指導する。
  ・ 日射を遮るために,帽子の着用や日傘の使用を勧める。
  ・ 登下校前の体調を確認し,体調不良の場合は自宅で経過観察をしたり,保護者に
   連絡をしたりして無理をさせないようにする。

6 生徒への指導のポイント
 ・ のどの渇きの感覚に頼らず,活動を始める前から水分補給をするよう指導する。
 ・ 日ごろから生活習慣を整えること,朝食抜きや睡眠不足にならないことを指導する。
 ・ 熱中症の初期症状(めまい,立ちくらみ,倦怠感等)について指導し,症状が出た
  ら,早めに教職員に伝えるように周知する。
 ・ 体調が優れない場合や運動後の活動等に困難さを感じる際には,ためらうことなく
  申し出ることを指導する。

伊集院中学校熱中症対策の指針(フローチャート・チェックシート付) 2024.9改訂