3年生への贈り物「克己心(道徳の授業をとおして)」  TOP


        1 実施日時  平成30年11月15日(木)~16日(金)の2日間

         ① 3年1組 11月15日(木) 2校時  9時25分~10時15分
         ② 3年2組 11月15日(木) 4校時 11時25分~12時15分
         ③ 3年3組 11月16日(金) 5校時 14時20分~15時10分
         ④ 3年4組 11月16日(金) 6校時 15時20分~16時10分

      2 目的
      
 
         ① 次年度から始まる、「特別の教科 道徳」への研究実践のため
          ※ 「考え、議論する道徳」とは一体どのような授業なのか、校長として体験してみたい。そして、学校全体で考えてみたい。
         ② 学校長として、今後の進路選択に向け、「あきらめず頑張ってほしい」というメッセージ」や道徳的価値観「克己と強い意志」
          について、友達とともに深く考えてほしい。
         ③ 卒業証書を渡す際に、共通の思い出をもって卒業させてあげたい。

      3 内容項目及び教材(資料)と授業の「ねらい」
       
① 内容項目 「克己と強い意志」 A(4)
         ② 教材:「西山先生へ」(学研 中学生の道徳 かけがえのないきみだから 3年)
         ③ 内容  
           本資料は、中学時代に、部活動に励む先輩の姿に憧れ入部したものの日々の練習のきつさや他の部員との技術レベルの
       違いに自信を失い、少しずつ部活動から足が遠のき始めた頃、顧問の先生が、部活動日誌に記した「夏目漱石の言葉」に
       心を打たれ、これまでの自分自身と今一度正面から向き合い、己の姿や考え方を振り返り、その後、再び前に進み始める
       という
ものである。
           顧問の先生は、主人公の苦しみ悩む姿に、何かを感じてほしいと願い、直接声を掛けるのではなく部活動日誌にその思
       いを記したものである。
        
主人公の「わたし」は、この状況は自分にとってよくない状況であると分かっているもののどうしてよいのか分からな
       い狭い世界の中に閉じこもってしまっていた。その状況から抜け出させるために顧問は、夏目漱石の「理想」という詩を
       引用し、「わたし」にものの見方を変えさせ、視野を広げさせ、閉じこもっていた狭い世界から解放させた。

        この授業では、これから先も出会うであろう困難な出来事に、すぐにあきらめたり、投げ出したりせず、一度立ち止ま
       り、自分の今居る位置を確認させ、今努力していることは「一体何のためにしているのか」、「この努力が今後どうつな
       がるのか」など、ものごとを俯瞰的に捉え、新たな力強い一歩を踏み出す強い意志と勇気が大切であることに気付かせた
       い。
さらに、あきらめず、最後までやり抜くことを経験することで達成感や成就感を味わい、それが自信と誇りにつなが
       り、再び出会うであろう困難に対する強い心の支えとなることに気付かせたい。

         4 指導案及び板書計画

学習指導案

   <板書の様子>

(板書全体像


心情の変化を表すグラフ   と          教材の内容
 

    5 生徒の実態
     (1) 実態調査結果(10月下旬に実施) (男子72人、女子64人 計136人)※回答率90%

アンケート集計結果
       

     (2) 考察

      アンケート1の結果から、約半数の生徒が夢があると回答している。しかし男女別に見ると、男子生徒が40%、女子
     生徒が70%と女子生徒の方が夢をもっている生徒が多い。女子生徒においては、「保育士」「看護師」「美容師」など
     将来の職業が高校を選択する理由にもなっていることから、夢や将来の職業に対する意識が高くなっていることが理由と
     思われる。

      今年度の本校の学校目標は「夢に向かって、粘り強く~」としているが、全国学力学習状況調査(生徒質問紙)を見て
     も、校の夢をもっている生徒は、全国と比較しても低く、ここ近年低い傾向が見られる。そのため、1年生からのキャリ
     ア教育を通して、いろいろな人の夢やその夢に向かって努力した姿などを知り、夢をもつことの大切さや喜びなどを伝え
     ていく必要がある。

      また、夢や職業が決まっていない生徒に関しては、焦らず、今自分が頑張っていることが将来の夢につながっていくこ
     を伝えるとともに世の中には様々職業があることも学ばせたい。

      アンケート2の結果から、多くの生徒が目標に向けて努力し、達成できていることが分かる。今後も、目の前の小さな
     目標から将来に向けての大きな目標まで、目標を達成していくためには、達成に向けての努力が大切であることを自覚さ
     せ、そのために大切なことは何なのかを深く考えさせたい。

       達成できたことがない生徒に関しては、達成感を味わうことが少なかったために自信を失い、努力することから逃げてい
     ることも予想されることから、小さな目標の達成を繰り返えさせ、まずは自信を持たせ、達成感を味わわせることから始
     めたい。

      アンケート3の結果から、半数以上の生徒が達成できなかったことを経験しており、できなかったことへの悔しさや後
     悔などを感じている。また、その原因を見てみると、自分自身の努力不足や技量や体力面を原因に挙げていたり、団結力
     不足やチームワークの問題などと周りに原因があると回答したりしている生徒もいた。反面、「途中であきらめてしまっ
     た。」「自分に厳しくなかった。」「負けてしまうことばかり考えていた。」「自分が弱かった。」など、自分自身の心
     の弱さが原因であったと振り返っている生徒もいた。

      目標が達成できない理由は、人それぞれ、目標の内容によっても異なるが、大切なことは、結果を基に、しっかりと自
     分自身で分析し、今後の生活に生かしていくことが大切であると指導していきたい。

      アンケート4の結果から、約40%の生徒が途中で、夢や目標をあきらめてしまっていることが分かる。男女の差異は
     なく。その時の気持ちは、「悲しかった。悔しかった。苦しかった。」というその時の辛い思いや挫折感などの回答が多
     かったが、中には、「あと少しだったのに。もっと頑張れたのに。もっと頑張ればよかった。」という回答もあった。今
     回の道徳の授業では、あきらめた後に「もっと~しておけば」ではなく、あきらめる前にどうすればよいのかについて深
     く考えさせたい。

      アンケート5の結果から、「簡単にあきらめてはならない。」という回答が多く、誰しも、あきらめずがんばり抜くこ
     とは大切であることは十分理解していることが分かる。しかしながら、アンケート結果からも、「人間は決して強いもの
     ではない。」ことも分かっており、逃げたり、怠けたり、途中で投げ出したりすることもある。だからこそ、「そうして
     しまった後の振り返り」や「そう思った時の思いとどまり」が大切となる。

      今回の道徳の資料「西山先生へ」で主人公が、「なぜ、部活動から離れ、なぜ顧問の先生の言葉でまた戻って行ったの
     か。そして、高校一厳しいと言われていた吹奏楽部で3年間頑張れたのか。」について深く考えさせ、これから出会うで
     あろう、困難な出来事に、簡単にあきらめないようにするためには、どうしたらよいのか、また、これからの自分の生き
     方にどう生かしていくかを考えさせたい。

      (3) 授業の様子

      
      (4) まとめ
          11月15日(木)、16日(金)の2日間にかけて、3年生全クラス(4クラス)に学校長が道徳の授業を
         行いました。これは。次年度から中学校において道徳が「特別の教科 道徳」(道徳科)として教科化
         されることを踏まえ、「考え、議論する道徳とは一体どんなものなのか」を先生方に一緒に考えてもらう
         ため、そして何より、高校入試を目の前に控えた3年生に、「夢や目標をあきらめず、最後まで努力し
         続けてほしい」という願いを込め授業を実施したものです。
          
          テーマ(内容項目)は、「克己と強い意志」A(4)です。学校長の名前が中村「克己」であることを利用
         した授業展開をおこないました。導入の段階で全生徒に対して「強い意志をもつために必要なことは」
         との問いに「あきらめない気持ち」とすぐに回答が返ってきましたが、では、「あきらめない気持ちをもつ
         ためには?」と質問すると「・・・・・・・・」と悩む生徒が多く見られました。その後、教材をとおして主人
         公の心の葛藤や決断について、自分や友達と意見を交流しながら、「あきらめない強い心をもつため
         に大切なこと」について深く考えていました。

          終末では、校長としての思いを伝えました。「最後まであきらめない強い意志をもつためには」、自分
         の中にもう一人の自分をつくりあげ、弱い自分とを戦わせることが大切である。人間だれしも弱い心を
         もっているもの。だからこそ「やりとげてうれしかった経験や達成感」「できなかった悔しさや挫折感」、
         そして「途中であきらめてしまった情けなさや罪悪感」など、それらを糧にし、さらに強い自分をつくりあ
         げていくものである。倒れたとき、そしてもうだめだと思ったとき、「よし起き上がろう!」「いやもう1回
         やってみよう!」そう思うのは、「自分の心」。だからこそ悩んだときは、これまで頑張ってきた自分を信
         じ、今の自分としっかり向き合い、とにかく対話することが大切。「これでいいのか?今あきらめていい
         のか?」と対話すれば、どうすればいいのか自ずと答えは出てくるものです。
          この授業で校長として私は、内容項目(道徳的価値)である「克己心(こっきしん)」もそうですが、卒
         業していく生徒たちに、これから先予測困難な社会をしっかりと生き抜いていくための校長の思いや願
         い「克己心(かつみごころ)」を、最初で最後の授業で伝えたかったのです。卒業まであと117日。一
         日一日を心を込めて精一杯過ごしていきましょう。校長先生は、心から応援しています。フレーフレー3
         年生!!また、卒業式の式辞でその思いを伝えます。お楽しみに!


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