平成30年度 いじめ実態調査結果

 本校では、年3回(5月末、11月末、3月初旬)全校生徒を対象に「いじめ実態」についてアンケート調査を実施します。
 実施後、アンケートの回答を基に、まずは学級担任が聞き取り調査を行い、その後「いじめ対応対策委員(生徒指導委員会)」において、いじめの実態把握及び共通理解を行い、学校全体でいじめ問題の解決に当たります。(その時のアンケート回答は、校長室において確実に保管されております。誰がどのようないじめを受け、どのように対応したかなど学校長が全て把握しておりますので
ご安心ください。常日頃から、気になる生徒については積極的に声かけしていきます。)
 
 
本校では本年度1年間で、107件のいじめを認知しました。
    (1学期
48件、2学期43件、3学期16

※ 3学期の件数は、2学期よりも27件少なくなってはいますが、数字には表れない大きな問題がありました。それは、3学期の認知件数16件(人)中6件(人)は、1、2学期ともにいじめを訴えた同じ生徒でした。訴えを受け1学期も2学期も指導し、解消に向け保護者とともに対応したにもかかわらず、三度辛い思いをさせてしまったことです。本当に悲しく、申し訳ないと思っています。これからも何度でも何度でも指導を続けます。
 また、1、2学期にいじめの問題で指導したにもかかわらず、3学期に三度友達に対して嫌な思いをさせてしまった生徒3人いました。
 これらの生徒については、再度、保護者を交え話合いの場をもち、解決に向けて取り組んだところです。今後も、継続して見守ってまいります。
 いじめの問題については、勇気をもって訴えた生徒の思いを大切にしながら、誠意をもって対応していくことが大切だと考えております。

3学期の状況(16件の認知)アンケート用紙


 「誰にも相談できず、どうしてよいのかわからない。」
 「
誰にも相談しないで、自分自身で解決していこうと思う。」
 「
何とも思わない。気にしない。
 
ア、イ、エの合計、全体の約30%が(2学期は39%
 
「誰にも相談していない。」という現状です。
 ※ 1、2学期に比べ
相談できる友達や一緒に考えてくれる人がいるので何とかなる。」
  と答えた人が
増えてきている(63%←2学期は54%)ということが良い傾向であると考えています。
   今後も様々な相談機関等を紹介し、
一人で抱え込まないよう啓発・周知していきます。
   まずは、
本校教職員が生徒から信頼され、いつでも相談してもらえるよう努めていきたいと考えております。

★ かけがえのない尊い子供たちの命を守るために、本校では、教職員にアンケート調査結果を受け、以下のようなことを伝えました。
  
平成31年3月22日(金) 職員朝会にて
 いじめの問題で、一番問題なのは、「いじめ」を苦にして自殺をしてしまうことです。
 生きていれば、必ず「救われること」「解決できること」があるということを子供たちに伝えることです。
 そのためには、まずは、毎学期調査する「いじめ実態調査(アンケート)」の生徒の回答に、徹底的に、かつ丁寧にあたることが大切となってきます。
 いじめ被害者の訴えにしっかりと寄り添い、どのように対応してほしいのかを一緒に考え、被害生徒の保護者とも連携を密に図りながら、いじめ問題の解決につなげていくことが最もなすべき対応である。
 当然、加害生徒及び加害生徒の保護者にも「いじめ」は絶対に許されることではないことを伝え、よりよい関係づくりに協力してもらうようにお願いすることも解決には重要な取組となってきます。
 一方、いじめの訴えはないものの、「誰にも相談できず悩んでいる」や「一人で解決する。」「気にしない」という回答は特に注意する必要がある。
 その理由は、いじめを受けたり、人間関係で何か悩んでいる生徒は、このような実態調査のアンケートに記載せず、一人で悩んでいる可能性が高いということになる。
 だからこそ、上記のアンケート調査結果(「誰にも相談できない」とか「一人で解決する」とか「別に気にしないようようにしている」などと回答した生徒)に注視し、日頃から声かけや観察が重要となってきます。
 
声にならない心の叫びに気付ける教師でなければ、子供たちの命を救うことはできない。
 私たち教師は、何をおいても子供たち一人一人のかけがえのない尊い命をも守り抜くことが、一番の役割なのですから。

2学期の状況(43件の認知)

(1、2学期合わせたいじめの状況)







(1、2、3学期合わせたいじめの状況)


3 いじめ被害を受けた場合の対応(いじめられたら自分はどうする?)
 の質問に対して



 「誰にも相談できず、どうしてよいのかわからない。」
 「
誰にも相談しないで、自分自身で解決していこうと思う。」
 「
何とも思わない。気にしない。
 
ア、イ、エの合計、178人(全体の約38.6%、1学期182人)が
 
「誰にも相談していない。」という現状です。
 ※ 1学期に比べ「
相談できる友達や一緒に考えてくれる人がいるので何とかなる。」
  と答えた人が
増えてきている(250人←234人)ということが良い傾向であると考えています。
   今後も様々な相談機関等を紹介し、
一人で抱え込まないよう啓発・周知していきます。
   まずは、
本校教職員が生徒から信頼され、いつでも相談してもらえるよう努めていきたいと考えております。

※ 2学期に認知した「いじめ」については、各担任が、いじめを訴えた生徒から聞き取り、すべて対応済みです。
 関係生徒からも事実関係を聞き取るとともに
関係生徒の保護者ともしっかりと連携を図りながら、解決に向け対応いたしました。
※  法及び基本方針では、
おおむね3か月は継続して見守りを行い、その後いじめを受けた生徒本人及び保護者から、確認をおこなった上で、「解消」という判断をしていくことになることから、11月末に実施したアンケート調査については、2月末にもう一度確認をすることになります。
 いじめは、「いつ」「どこで」再発するか分かりませんので、今後も継続して支援していきます。(定期的に本人から聞き取りを行いますので、ご安心ください。)何か心配なことがありましたら、いつでもご連絡ください。

<参考までに>

1学期の状況(48件の認知)


         ※ 言われたくない「あだな」等                 ※ 肩などを強く叩く「肩パン」等

       ※ お金ではなく、物(スリッパやくつ 等)

※ 1学期に認知した「いじめ」については、各担任が、いじめを訴えた生徒から聞き取り、すべて対応済みです。
 関係生徒からも事実関係を聞き取るとともに
関係生徒の保護者ともしっかりと連携を図りながら、解決に向け対応いたしました。
※  法及び基本方針では、
おおむね3か月は継続して見守りを行い、その後いじめを受けた生徒本人及び保護者から、確認をおこなった上で、「解消」という判断をしていくことになることから、6月末に実施したアンケート調査については、9月末にもう一度確認をすることになります。
※ 
10月9日までに、各学級担任が48人の生徒から再度、聞き取りを行いました。その結果、48人の生徒から「今はない」との回答を受けております。しかしながら、いじめは、「いつ」「どこで」再発するか分かりませんので、今後も継続して支援していきます。(定期的に本人から聞き取りを行いますので、ご安心ください。)何か心配なことがありましたら、いつでもご連絡ください。

3 いじめ被害を受けた場合の対応(いじめられたら自分はどうする?)の質問に対して

〇 伊集院中学校では、「いじめ」の訴えや認知があった場合は、いじめを受けている本人及び保護者と「いじめ行為」を行った生徒及びその保護者を交え、いじめ問題の解決に当たっていきます。この対応は、下記「いじめ防止対策推進法」及び国や県、市、学校の基本方針に基づくものです。

 特に、
以下の条文に基づくものですので御理解、御協力をお願いいたします。いじめ問題は「子供たちだけ」の問題ではありません。社会の問題として子供に関わるずべての人、社会総ぐるみで対応していくことが大切です。
 

第四条
 児童等は、いじめを行ってはならない。(いじめの禁止)

第九条 保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、その保護する児童等がいじめを行うことのないよう、当該児童等に対し、規範意識を養うための指導その他の必要な指導を行うよう努めるものとする。(保護者の責務等)
第九条 保護者は、子の教育について
2 保護者は、その保護する
児童等がいじめを受けた場合には、適切に当該児童等をいじめから保護するものとする。

第二十三条 
2 学校は、通報を受けたときその他当該学校に在籍する児童等が
いじめを受けていると思われるときは、速やかに、当該児童等に係るいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずる。
(いじめに対する措置)
3 学校は、事実の確認によりいじめがあったことが
確認された場合には、いじめをやめさせいじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言を継続的に行うものとする。


いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)

目次
第一章 総則(第一条―第十条)
第二章 いじめ防止基本方針等(第十一条―第十四条)
第三章 基本的施策(第十五条―第二十一条)
第四章 いじめの防止等に関する措置(第二十二条―第二十七条)
第五章 重大事態への対処(第二十八条―第三十三条)
第六章 雑則(第三十四条・第三十五条)
附則

第一章 総則

(目的)
第一条 この法律は、いじめが、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであることに鑑み、児童等の尊厳を保持するため、いじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。以下同じ。)のための対策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体等の責務を明らかにし、並びにいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針の策定について定めるとともに、いじめの防止等のための対策の基本となる事項を定めることにより、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う
心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
2 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)をいう。
3 この法律において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。
4 この法律において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。

(基本理念)
第三条 いじめの防止等のための対策は、いじめが全ての児童等に関係する問題であることに鑑み、児童等が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、
学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。
2 いじめの防止等のための対策は、全ての児童等がいじめを行わず、及び他の児童等に対して行われるいじめを認識しながらこれを
放置することがないようにするため、いじめが児童等の心身に及ぼす影響その他のいじめの問題に関する児童等の理解を深めることを旨として行われなければならない。
3 いじめの防止等のための対策は、いじめを受けた児童等の生命及び心身を保護することが特に重要であることを認識しつつ、国、地方公共団体、学校、地域住民、家庭その他の関係者の連携の下、いじめの問題を克服することを目指して行われなければならない。

(いじめの禁止)
第四条 児童等は、いじめを行ってはならない。


(国の責務)
第五条 国は、第三条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、いじめの防止等のための対策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)
第六条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、いじめの防止等のための対策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(学校の設置者の責務)
第七条 学校の設置者は、基本理念にのっとり、その設置する学校におけるいじめの防止等のために必要な措置を講ずる責務を有する。

(学校及び学校の教職員の責務)
第八条 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民、児童相談所その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。

(保護者の責務等)
第九条 保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、その保護する児童等がいじめを行うことのないよう、当該児童等に対し、規範意識を養うための指導その他の必要な指導を行うよう努めるものとする。
2 保護者は、その保護する児童等がいじめを受けた場合には、適切に当該児童等をいじめから保護するものとする。
3 保護者は、国、地方公共団体、学校の設置者及びその設置する学校が講ずるいじめの防止等のための措置に協力するよう努めるものとする。

4 第一項の規定は、家庭教育の自主性が尊重されるべきことに変更を加えるものと解してはならず、また、前三項の規定は、いじめの防止等に関する学校の設置者及びその設置する学校の責任を軽減するものと解してはならない。

(財政上の措置等)
第十条 国及び地方公共団体は、いじめの防止等のための対策を推進するために必要な財政上の措置その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第二章 いじめ防止基本方針等

(いじめ防止基本方針)
第十一条 文部科学大臣は、関係行政機関の長と連携協力して、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針(以下「いじめ防止基本方針」という。)を定めるものとする。
2 いじめ防止基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 いじめの防止等のための対策の基本的な方向に関する事項
二 いじめの防止等のための対策の内容に関する事項
三 その他いじめの防止等のための対策に関する重要事項

(地方いじめ防止基本方針)
第十二条 地方公共団体は、いじめ防止基本方針を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体におけるいじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針(以下「地方いじめ防止基本方針」という。)を定めるよう努めるものとする。

(学校いじめ防止基本方針)
第十三条 学校は、いじめ防止基本方針又は地方いじめ防止基本方針を参酌し、その学校の実情に応じ、当該学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものとする。

(いじめ問題対策連絡協議会)
第十四条 地方公共団体は、いじめの防止等に関係する機関及び団体の連携を図るため、条例の定めるところにより、学校、教育委員会、児童相談所、法務局又は地方法務局、都道府県警察その他の関係者により構成されるいじめ問題対策連絡協議会を置くことができる。
2 都道府県は、前項のいじめ問題対策連絡協議会を置いた場合には、当該いじめ問題対策連絡協議会におけるいじめの防止等に関係する機関及び団体の連携が当該都道府県の区域内の市町村が設置する学校におけるいじめの防止等に活用されるよう、当該いじめ問題対策連絡協議会と当該市町村の教育委員会との連携を図るために必要な措置を講ずるものとする。
3 前二項の規定を踏まえ、教育委員会といじめ問題対策連絡協議会との円滑な連携の下に、地方いじめ防止基本方針に基づく地域におけるいじめの防止等のための対策を実効的に行うようにするため必要があるときは、教育委員会に附属機関として必要な組織を置くことができるものとする。

第三章 基本的施策

(学校におけるいじめの防止)
第十五条 学校の設置者及びその設置する学校は、児童等の豊かな情操と道徳心を培い、心の通う対人交流の能力の素地を養うことがいじめの防止に資することを踏まえ、全ての教育活動を通じた道徳教育及び体験活動等の充実を図らなければならない。
2 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校におけるいじめを防止するため、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民その他の関係者との連携を図りつつ、いじめの防止に資する活動であって当該学校に在籍する児童等が自主的に行うものに対する支援、当該学校に在籍する児童等及びその保護者並びに当該学校の教職員に対するいじめを防止することの重要性に関する理解を深めるための啓発その他必要な措置を講ずるものとする。

(いじめの早期発見のための措置)
第十六条 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校におけるいじめを早期に発見するため、当該学校に在籍する児童等に対する定期的な調査その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 国及び地方公共団体は、いじめに関する通報及び相談を受け付けるための体制の整備に必要な施策を講ずるものとする。
3 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校に在籍する児童等及びその保護者並びに当該学校の教職員がいじめに係る相談を行うことができる体制(次項において「相談体制」という。)を整備するものとする。
4 学校の設置者及びその設置する学校は、相談体制を整備するに当たっては、家庭、地域社会等との連携の下、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利その他の権利利益が擁護されるよう配慮するものとする。

(関係機関等との連携等)
第十七条 国及び地方公共団体は、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援、いじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言その他のいじめの防止等のための対策が関係者の連携の下に適切に行われるよう、関係省庁相互間その他関係機関、学校、家庭、地域社会及び民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援その他必要な体制の整備に努めるものとする。

(いじめの防止等のための対策に従事する人材の確保及び資質の向上)
第十八条 国及び地方公共団体は、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援、いじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言その他のいじめの防止等のための対策が専門的知識に基づき適切に行われるよう、教員の養成及び研修の充実を通じた教員の資質の向上、生徒指導に係る体制等の充実のための教諭、養護教諭その他の教員の配置、心理、福祉等に関する専門的知識を有する者であっていじめの防止を含む教育相談に応じるものの確保、いじめへの対処に関し助言を行うために学校の求めに応じて派遣される者の確保等必要な措置を講ずるものとする。
2 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校の教職員に対し、いじめの防止等のための対策に関する研修の実施その他のいじめの防止等のための対策に関する資質の向上に必要な措置を計画的に行わなければならない。

(インターネットを通じて行われるいじめに対する対策の推進)
第十九条 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校に在籍する児童等及びその保護者が、発信された情報の高度の流通性、発信者の匿名性その他のインターネットを通じて送信される情報の特性を踏まえて、インターネットを通じて行われるいじめを防止し、及び効果的に対処することができるよう、これらの者に対し、必要な啓発活動を行うものとする。
2 国及び地方公共団体は、児童等がインターネットを通じて行われるいじめに巻き込まれていないかどうかを監視する関係機関又は関係団体の取組を支援するとともに、インターネットを通じて行われるいじめに関する事案に対処する体制の整備に努めるものとする。
3 インターネットを通じていじめが行われた場合において、当該いじめを受けた児童等又はその保護者は、当該いじめに係る情報の削除を求め、又は発信者情報(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)第四条第一項に規定する発信者情報をいう。)の開示を請求しようとするときは、必要に応じ、法務局又は地方法務局の協力を求めることができる。

(いじめの防止等のための対策の調査研究の推進等)
第二十条 国及び地方公共団体は、いじめの防止及び早期発見のための方策等、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言の在り方、インターネットを通じて行われるいじめへの対応の在り方その他のいじめの防止等のために必要な事項やいじめの防止等のための対策の実施の状況についての調査研究及び検証を行うとともに、その成果を普及するものとする。

(啓発活動)
第二十一条 国及び地方公共団体は、いじめが児童等の心身に及ぼす影響、いじめを防止することの重要性、いじめに係る相談制度又は救済制度等について必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。

第四章 いじめの防止等に関する措置

(学校におけるいじめの防止等の対策のための組織)
第二十二条 学校は、当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、当該学校の複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者により構成されるいじめの防止等の対策のための組織を置くものとする。

(いじめに対する措置)
第二十三条 学校の教職員、地方公共団体の職員その他の児童等からの相談に応じる者及び児童等の保護者は、
児童等からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実があると思われるときは、いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報その他の適切な措置をとるものとする。
2 学校は、前項の規定による通報を受けたときその他当該学校に在籍する児童等が
いじめを受けていると思われるときは、速やかに、当該児童等に係るいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに、その結果を当該学校の設置者に報告するものとする。
3 学校は、前項の規定による事実の確認によりいじめがあったことが
確認された場合には、いじめをやめさせ、及びその再発を防止するため、当該学校の複数の教職員によって、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者の協力を得つつ、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言を継続的に行うものとする。
4 学校は、前項の場合において必要があると認めるときは、いじめを行った児童等について
いじめを受けた児童等が使用する教室以外の場所において学習を行わせる等いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を講ずるものとする。
5 学校は、当該学校の教職員が第三項の規定による支援又は指導若しくは助言を行うに当たっては、
いじめを受けた児童等の保護者といじめを行った児童等の保護者との間で争いが起きることのないよう、いじめの事案に係る情報をこれらの保護者と共有するための措置その他の必要な措置を講ずるものとする。
6 学校は、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認めるときは所轄警察署と連携してこれに対処するものとし、当該学校に在籍する児童等の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは直ちに所轄警察署に通報し、適切に、援助を求めなければならない。

(学校の設置者による措置)
第二十四条 学校の設置者は、前条第二項の規定による報告を受けたときは、必要に応じ、その設置する学校に対し必要な支援を行い、若しくは必要な措置を講ずることを指示し、又は当該報告に係る事案について自ら必要な調査を行うものとする。

(校長及び教員による懲戒)
第二十五条 
校長及び教員は、当該学校に在籍する児童等がいじめを行っている場合であって教育上必要があると認めるときは、学校教育法第十一条の規定に基づき、適切に、当該児童等に対して懲戒を加えるものとする。

(出席停止制度の適切な運用等)
第二十六条 市町村の教育委員会は、いじめを行った児童等の保護者に対して学校教育法第三十五条第一項(同法第四十九条において準用する場合を含む。)の規定に基づき
当該児童等の出席停止を命ずる等、いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を速やかに講ずるものとする。

(学校相互間の連携協力体制の整備)
第二十七条 地方公共団体は、いじめを受けた児童等といじめを行った児童等が同じ学校に在籍していない場合であっても、学校がいじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言を適切に行うことができるようにするため、学校相互間の連携協力体制を整備するものとする。

第五章 重大事態への対処

(学校の設置者又はその設置する学校による対処)
第二十八条 学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。
一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
2 学校の設置者又はその設置する学校は、前項の規定による調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとする。
3 第一項の規定により学校が調査を行う場合においては、当該学校の設置者は、同項の規定による調査及び前項の規定による情報の提供について必要な指導及び支援を行うものとする。

(国立大学に附属して設置される学校に係る対処)
第二十九条 国立大学法人(国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人をいう。以下この条において同じ。)が設置する国立大学に附属して設置される学校は、前条第一項各号に掲げる場合には、当該国立大学法人の学長を通じて、重大事態が発生した旨を、文部科学大臣に報告しなければならない。
2 前項の規定による報告を受けた文部科学大臣は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、前条第一項の規定による調査の結果について調査を行うことができる。
3 文部科学大臣は、前項の規定による調査の結果を踏まえ、当該調査に係る国立大学法人又はその設置する国立大学に附属して設置される学校が当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずることができるよう、国立大学法人法第三十五条において準用する独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第六十四条第一項に規定する権限の適切な行使その他の必要な措置を講ずるものとする。

(公立の学校に係る対処)
第三十条 地方公共団体が設置する学校は、第二十八条第一項各号に掲げる場合には、当該地方公共団体の教育委員会を通じて、重大事態が発生した旨を、当該地方公共団体の長に報告しなければならない。
2 前項の規定による報告を受けた地方公共団体の長は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、第二十八条第一項の規定による調査の結果について調査を行うことができる。
3 地方公共団体の長は、前項の規定による調査を行ったときは、その結果を議会に報告しなければならない。
4 第二項の規定は、地方公共団体の長に対し、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第二十一条に規定する事務を管理し、又は執行する権限を与えるものと解釈してはならない。
5 地方公共団体の長及び教育委員会は、第二項の規定による調査の結果を踏まえ、自らの権限及び責任において、当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずるものとする。

(私立の学校に係る対処)
第三十一条 学校法人(私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人をいう。以下この条において同じ。)が設置する学校は、第二十八条第一項各号に掲げる場合には、重大事態が発生した旨を、当該学校を所轄する都道府県知事(以下この条において単に「都道府県知事」という。)に報告しなければならない。
2 前項の規定による報告を受けた都道府県知事は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、第二十八条第一項の規定による調査の結果について調査を行うことができる。
3 都道府県知事は、前項の規定による調査の結果を踏まえ、当該調査に係る学校法人又はその設置する学校が当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずることができるよう、私立学校法第六条に規定する権限の適切な行使その他の必要な措置を講ずるものとする。
4 前二項の規定は、都道府県知事に対し、学校法人が設置する学校に対して行使することができる権限を新たに与えるものと解釈してはならない。
第三十二条 学校設置会社(構造改革特別区域法(平成十四年法律第百八十九号)第十二条第二項に規定する学校設置会社をいう。以下この条において同じ。)が設置する学校は、第二十八条第一項各号に掲げる場合には、当該学校設置会社の代表取締役又は代表執行役を通じて、重大事態が発生した旨を、同法第十二条第一項の規定による認定を受けた地方公共団体の長(以下「認定地方公共団体の長」という。)に報告しなければならない。
2 前項の規定による報告を受けた認定地方公共団体の長は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、第二十八条第一項の規定による調査の結果について調査を行うことができる。
3 認定地方公共団体の長は、前項の規定による調査の結果を踏まえ、当該調査に係る学校設置会社又はその設置する学校が当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずることができるよう、構造改革特別区域法第十二条第十項に規定する権限の適切な行使その他の必要な措置を講ずるものとする。
4 前二項の規定は、認定地方公共団体の長に対し、学校設置会社が設置する学校に対して行使することができる権限を新たに与えるものと解釈してはならない。
5 第一項から前項までの規定は、学校設置非営利法人(構造改革特別区域法第十三条第二項に規定する学校設置非営利法人をいう。)が設置する学校について準用する。この場合において、第一項中「学校設置会社の代表取締役又は代表執行役」とあるのは「学校設置非営利法人の代表権を有する理事」と、「第十二条第一項」とあるのは「第十三条第一項」と、第二項中「前項」とあるのは「第五項において準用する前項」と、第三項中「前項」とあるのは「第五項において準用する前項」と、「学校設置会社」とあるのは「学校設置非営利法人」と、「第十二条第十項」とあるのは「第十三条第三項において準用する同法第十二条第十項」と、前項中「前二項」とあるのは「次項において準用する前二項」と読み替えるものとする。

(文部科学大臣又は都道府県の教育委員会の指導、助言及び援助)
第三十三条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十五条の四第一項の規定によるほか、文部科学大臣は都道府県又は市町村に対し、都道府県の教育委員会は市町村に対し、重大事態への対処に関する都道府県又は市町村の事務の適正な処理を図るため、必要な指導、助言又は援助を行うことができる。

第六章 雑則

(学校評価における留意事項)
第三十四条 学校の評価を行う場合においていじめの防止等のための対策を取り扱うに当たっては、いじめの事実が隠蔽されず、並びにいじめの実態の把握及びいじめに対する措置が適切に行われるよう、いじめの早期発見、いじめの再発を防止するための取組等について適正に評価が行われるようにしなければならない。
(高等専門学校における措置)
第三十五条 高等専門学校(学校教育法第一条に規定する高等専門学校をいう。以下この条において同じ。)の設置者及びその設置する高等専門学校は、当該高等専門学校の実情に応じ、当該高等専門学校に在籍する学生に係るいじめに相当する行為の防止、当該行為の早期発見及び当該行為への対処のための対策に関し必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。